当店は、店主・保坂浩輝の両親、父・紀夫と母・英美子が昭和57年=40年前の5月1日に創業しました。
34年と3ヶ月後に、前日まで元氣だった母は突然亡くなりました(英美子・2016年永眠)。5年前に35周年記念企画を開催しましたが、亡くなる前日まで、まさか35周年を母がいない状態で迎えるとは、1%も予期していませんでした。そして、35周年企画の時には元氣だった父が、その4ヶ月後に亡くなるとも予期していませんでした(紀夫・2017年永眠)。
2人がいなければ、私もこの世に存在していませんし、当店も存在しません。
40年前、まだ「クラフト」という言葉も耳なじみがなかった時代に、民家の8畳1間で店を始めた時は、「山梨でクラフトショップなど続かない、すぐに潰れる」などと言われたこともあったようです。私が店とは畑違いの大学に入ったり、会社に就職した時には、「あと何年かやって店は終わりにする」と両親は思っていたそうです。
その後、私が会社を辞めて店に入ってからも、何年かは自転車操業で、私も年収60万円(月給5万円)を何年か続けました。祖父が寝たきりになった時には、ただでさえ朝から晩まで働いていた母は介護もするようになり、店も危機的な状況になった時もありました。両親が経営していた時代も助成金や補助金をもらったことはないと思いますが、40年続いたのは奇跡でしょう。
始めてくれた父、身を粉にして働いてくれた母、支えてくださったお客様・創り手の皆様に心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!
今月(昨日)から、北杜市の保坂紀夫・竹の造形美術館(日本の匠と美ほさか 八ヶ岳店)が開館しました(9月25日までの期間限定)。
6月12日(日)には甲府で40周年記念企画がございます。
https://www.facebook.com/events/507188737613325
お祝いは不要です。それよりも、ぜひ美術館で父の奇跡的な作品をご覧ください。ぜひ40周年企画にご参加ください。
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昨日開催した竹の造形美術館での40周年記念企画に参加された方のご感想です。
「貴重な貴重なお話と体験をさせていただき、ありがとうございました 日本の伝統工芸・民藝には元々関心があったのですが、お父様の作品は本当に見事としか言いようがなく、お母様のご苦労を思えば尚のこと、作品のご説明をうかがっている時には、なんだか感極まって涙が出てしまいました 作品が素晴らしいのは勿論ですが、息子の浩輝さんがその価値をしっかり受け止めて、今日のように語り継いでいらっしゃこともまた尊いとことだなぁと。」
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15年前から私が発行し続けてきたお客様向けの「通信」の40周年特別号(4月号・通算108号)に掲載した文章を転載します。
※添付の画像の文章は、30数年前に代表だった父・保坂紀夫が作った当店のご案内です。
「40周年を迎えて」 日本の匠と美ほさか 店主・保坂浩輝
私が中学生の時に両親が民家の8畳一間で始めた店が5月1日で40周年となります。
お客様、作家さん、職人さん、関わってくださったすべての皆様のおかげです。心より御礼申し上げます。誠にありがとうございます。
続けてこられたもう1つの大きな要因は、母・英美子がコツコツ小さなことを積み重ねてきたから、だと思っています。
昔の記録を見ると、夜9時まで1日も休まず営業していた時期もあったようです。店と家事、働きづめの34年間でした。突然天国に行ったので、親孝行ができず申し訳なかったです。
30周年を過ぎてから、「継続は力なり」という言葉の真の意味を、ひしひしと感じることが多くなりました。
私が25周年の時から15年間、通信を発行し、傅え続けているのは、母の影響があるのでしょう。
私は会社勤めを経験してから店に入り、約30年になります。
両親が素晴らしい店を始めてくれたおかげで、日本を元氣にする最高の志事を生業にすることができ、感謝しています。
添付画像は、まだ私が店に入る前に、父・紀夫が作ったものです。
40年前の創業当時から、「本物を永く大切に使おう」という理念・提案は一貫しています。
しかし、日本は逆に偽物が溢れ、安物を使い捨てにする社会になってしまいました。自分で自分の首を絞める選択・お金の使い方で、八方塞がりの社会になっています。
日本の「本物」を知らない、見たことも触れたことがない人が多いのは、あまりにも勿体無いので、店や著書・全国各地の講演会で、「真の本物」「日本の伝統」の凄さや素晴らしさ=「足元の宝」を傅え続けています。
私の学びの集大成・遺言のつもりで書いた
『「八方良し」を目指して 日本・山梨を元氣に!』
の副題は、~すべては知ることから始まる~です。
外国の物や新しい物ではなく、元々日本にある世界最高の「足元の宝」を知り、取り入れ、活かすことで、毎日愉しい暮らし、幸福な「八方良し」の社会を創ることができます。
今こそ、本当のこと・本物を知って、「昔に進み」「自然に還る」ことが必要な時です。子ども達や日本の未来は、私達の選択と行動にかかっています。