本日の山梨日日新聞18面最下部に明日4日まで開催中の「輪島の漆器展」の紹介記事が掲載されましたので、山梨の皆様はご覧いただければ、と思います。
毎年開催している「輪島の漆器展」自体が輪島応援の企画でありますが、地震と水害の二重被災があった今年は、特別企画を2つ行いました(両企画共に参加費は義援金としてお渡し)。
1つ目は、一昨日、「輪島塗で和食を楽しむ会」を開催しました。塗師屋・大崎さんご夫妻のお話を伺いながら、100年前の輪島塗で江戸懐石近茶流のお料理をいただくという、器もお料理も最高の体験で、ご参加いただいた皆様から、「日本の伝統文化を大事にしたい」「輪島塗を残したい」「素晴らしい体験をさせていただいた」「輪島塗で食べるとさらに美味しくなりますね。全然違う」などのご感想をいただき、大好評でした。
2つ目は、昨日の「塗師屋・大崎さんご夫妻x保坂浩輝 お話会」。
元旦の地震、その後の生活や輪島の状況、9月の水害のこと。
何事もなく無事に暮らせることは当たり前ではなく「奇跡」であり、いかに有難いか、ということ。
漆・輪島塗の素晴らしさ、先人の智慧・工夫・技術の凄さ、他の輪島の漆器と大崎さんの輪島塗の違い、などをお話いただきました。
ありえないような大災害に1年で2回も被災されるという、とてつもない困難な状況に置かれても、前を向いて「輪島塗の文化を絶やさず必ず復活させる」と仰っていて、輪島塗・伝統を守ろう、次世代に繋ごうという志・心意氣、本当に素晴らしく、私も微力ながら応援・お手伝いができれば、と思っています。お話会には、寺子屋の生徒も参加させていただき、お話を伺えて良い学びの機会となったと思います。
食事会・お話会、共に県外からわざわざお越しになった方が複数いらして、お話会には船木威徳先生が参加してくださいました。初めてご来店でしたので、同時開催の「魔法の箒」や1階ショップもゆっくりご覧いただき、輪島塗や魔法の箒を生活に取り入れていただけることになりました。「来て良かった」と喜んでくださり、私にとっても嬉しい時間となりました。
明日4日までの「輪島の漆器展」「魔法の箒展」、共に国宝級の品々です。
「なかなか輪島には行けないけど、甲府なら行ける」という方も多いのではないかと思います。ぜひ、大崎さんご夫妻と「足元の宝」に会いにいらしてください!
講演会でも、「日本人が日本の価値があるものをきちんと評価しましょう」という話をしています。外国人の方のほうが日本の伝統や文化の価値をわかっています。
スザーン・ロスさん著「漆に魅せられて」から、以下に少しご紹介します。
「漆は自然な素材で、強くて、いろんな形が表現できます。しかも強い殺菌力がある。万能の材料なんですよ。私は漆に、日本人の美意識や、自然を敬って自然と共にいきてきた日本人のこころを感じるのです。
そんな漆が、いま日本人の生活から消えようとしています。
漆のお椀や器は、プラスティック製品に取って代わられ、漆職人も、その仕事を支える漆取りの職人やその道具を作る職人も、もうほとんどいません。消えてしまったら、もう取り戻せない。日本人がそのことに気づいていないことが、私は心配でなりません。
日本の文化は、「世界のお兄ちゃん」です。こんなに平和で、調和とバランスを大切にしてきた文化は多国にはありません。世界はいま調和を失い、暴力がはびこって、おかしくなっています。人類が人間らしい心を取り戻すための鍵が、日本の伝統文化の中にあると思うから、それを日本人に取り戻してほしい。そして、世界に教えてほしいのです。」
「日本の漆と中国の漆は全く違う種類であることも、DNA調査の結果から分かっています」
「もっと日本人の皆さんが漆器を使って、職人さんを支えて伝統技術を守ってほしい!そして、何十年、何百年後を見て、未来につながる計画を立ててほしい!私の心からの願いです」
「漆には強力な抗菌作用があります。最近の実験では、様々な菌を漆器とプラスティックの上に置いて観察したところ、プラスティックの上の菌は大量に残っていたのに比べて、漆器では24時間後には菌がゼロか、ほとんどなくなっていたという実験結果がいくつもあります」
「ヨーロッパやアメリカはずっと日本に憧れています」(私の本にも同様のことを書いています)
「日本人は、昔からの価値観や道徳、自己を律する心や人に対するおもてなしの心など、日本人の素敵なところをどんどん捨ててしまっています。お年寄りと若者では、別の惑星の生き物かと思うくらいです」
「いまの日本の学校は何かがおかしいと、いつも思います。
人間にとって大切なことが、どんどん削れられているように思えて仕方がないのです。」
「70年前、戦争に負けて、日本人は自信を無くし、おかしくなってしまいました。
アメリカが勝ったから、自分のものを捨てて、どんどんアメリカのものばかり取り入れてきたけれど、日本はアメリカの何倍も歴史があって、アメリカに教えることがいっぱいあるはず。日本はアメリカのお兄ちゃんです。アメリカからは良いところだけ頂けばいいのです」
「伝統文化を失ってはいけません!なぜなら、日本人の伝統的精神は世界を救うことができるからです!」
私と同じ考えがたくさん書かれています。
この本を読んでいただくと、私が長年、日本の伝統・文化・工芸を傳え、守るたけの活動を続けている理由、「昔に進もう」と言っている理由、がお分かりいただけると思います。