蹴球W杯 本田選手の言葉

2018-06-29 | その他

 日本代表W杯決勝トーナメント進出、おめでとうございます。
 代表の本田圭佑選手が「ちゃんと見てほしい。結果だけでなくて。代表にいる連中は日本人が想像もできないような努力をしてきて、ここの場所にいる。それをしっかり見てほしい。」と言っていました。本当にそうなんですよね。過程を知らずに評価する人が多いように思います。
 
 物造りにも言えることだと思いました。例えば、私がお勧めしている輪島塗。NHKの朝ドラ「まれ」の舞台となった塗師屋さんで制作されています。輪島塗と言ってもピンキリあって、輪島塗なら良いというわけではありません。ピンの塗師屋さんだから舞台に選ばれたのです。長くお付き合いしていますので、私も何度も訪ねていまして、俳優の方々との写真や台本(もちろんドラマ終了後です)も見せていただきました。
 本物の輪島塗のお椀を作るには、細かく分けると120工程を経て作られますが、何もご存知無い方は値段を聞くと「高い」と仰います。私は工程やどういう素材や漆を使っているか直接拝見していますので、「この値段では職人さんが可哀想なくらい安い」と思います。これはうちの店の他の職人さんの品物にも言えることですし、伝統工芸品の工程を習得するまでに約10年程かかると言われますが、その歳月も忘れてはならないと思います。
海外ブランドのバッグが高価格で売られています。本物のお椀は手間を考えるとそれよりもずっと高価格でないとおかしいと思うのですが、何分の一の低価格です。ランニングコストがかからず毎日使える代々モノなので、1日1円にもならないかというほど激安ですから、こういう品を使うのは贅沢ではありません。
また、樹齢100年位の木を使っていますので、木の芽がでるところから品物になるまでに105年位はかかっています。
 「八方良し」を目指して』の中で、「何が高くて、何が安いのか」を述べていますが、「高い」と言うことは、「職人さんの志事が価格に見合う価値がない」と言っているのと同義です。私から見ると、逆に世の中には価値に見合わない、例えば健康を害す危険性が高い「低価格の高いもの」がたくさん溢れているように見えます。

※写真は『「八方良し」を目指して』にも掲載したお椀で、左が新品、右が私が6年間愛用しているモノ。使えば使うほど艶が増す。これで飲むと味噌汁が美味しい。


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