竹の造形美術館の解説ツアーでは、私が竹の作品の解説をした後に、父(保坂紀夫)の生前の映像をご覧いただいています。その映像の冒頭で父は、「(創作活動は)俺にしかできない志事(仕事)じゃなきゃ」と言っていて、この言葉は、私の心にも深く刻まれています。
「一度しかない人生の、限られた時間」を何にどう使うか。
竹の作品の解説ツアーにご参加いただくと、おわかりいただけますが、
父は、「保坂紀夫でなければできない、他の人がやろうともしなかった」仕事をし、世界で誰も創れなかった作品を遺しました。
そして解説ツアーでお話しているように、父を支え続けたのは私の母、紀夫の妻・英美子であり、甲府の店を34年3ヶ月間、営業しながら父を支え続けたのは、「保坂英美子でなければできなかった」仕事・人生で、だから母も偉大だった、と思います。
竹の作品創りは、氣が遠くなるような材料作りから始まります。どれだけ手間がかかるかは、解説ツアーの映像をご覧になれば、ご理解いただけます。父自身も映像の中で、「(材料作りは手間がかかり過ぎて)普通は始める前に嫌になっちゃう」と言っています。
父(どういう人だったかも解説ツアーでお話しています)を長年支え続けるのも、「普通は嫌になっちゃう」と思いますが、母は生涯続けました。
私も道なき道を歩んでいるので、試行錯誤の連続で試練・困難もありますが、乗り越えて継続できるように、と思います。
昨日からノグチミエコさんのガラス展を開催しています。ノグチさんも「ノグチさんにしかできない」作品を創り続けています。それとお人柄。本当に信頼できる人とは、見えないもので繋がっているのだと思います。信頼関係がなければ、何事もうまくいかないでしょう。だからこそ、私も長年に渡り、ノグチさんの作品を紹介し続けているのです。
ノグチさんと保坂紀夫は
①常に新しいことに挑戦し進化し続ける
②独創的な作品
③人間技とは思えない奇跡的な作品
という共通点があります。
もう一つ、とても重要な共通点は
④素材の特長を最大限に引き出すこと、生かすこと、です。
保坂紀夫は「竹」、ノグチさんは「ガラス」。
この点は、実際に竹の美術館にいらして、写真ではなく直接作品を見ないと理解することはできません。
ノグチさんの作品「波裏」は、浮世絵が360度から見られる!史上初の作品です。
保坂紀夫も史上初の奇跡的な作品を複数遺しました。
父もそうだったと思いますが、ノグチさんの作品も構想から実際に作品が創れるようになるまで、10年かかっている作品もあります。
⑤「どうやったらできるか、創れるか」ということを考え続け、試行錯誤を重ね、成し遂げる。
⑥写真では作品の凄さが伝わらない(笑)。
さらに!
⑦デザイナー・職人・アーティストを一人でやった
これらも共通点ですね。
そういう意味ではノグチさんの作品展は本来入場料をいただかないといけないのかもしれませんが、12日(月・祝)まで無料で予約不要でご覧になれますので、この機会をお見逃しなく!
昨日の初日を終えて、ノグチさんも私も思うところがあり話し合いました。来年も展示会を開催する場合は、今年とは違う方法で開催することになると思います。
ガラス展開催中の12日まではご覧になれない通常の竹の作品の解説ツアー(10日9時~・12日9時~のみ予約をいただければOK)は、事前予約制で8月15日~再開します。今年の竹の造形美術館の開館は9月23日までで、現時点で予約可能な日は以下のとおりです。
8月15・16・18・21~25・28・29日、30日14時~
9月8・12~16・19~21日
10~4月は閉館で、来年も5月~開館予定です。
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まだ父の言葉「俺にしかできない志事」を聞いていない、私が20代の時に作詞した歌
「心のままに」
https://www.youtube.com/watch?v=oiQONwSNqXw
に、「一度しかない人生だから 心のままに生きるよ」
という歌詞があります。むか~し創った歌詞が、今の自分に伝言をしてくれているようです。
父やノグチさんには遠く及びませんが、私も「自分にしかできない志事」を意識しています。
昔、サラリーマンを辞めた理由の1つです。
店も美術館も出版も講演も発信も寺子屋立ち上げも。
本当は、もっと優秀な人がやっていただければ良いのですが、やる人がいなかったので。
共に歩んでくださる皆様に感謝です。